令和6年の診療報酬改定のポイントについて解説していきます。
診療報酬改定/4つの基本認識
まずは今回の改定の共通認識について確認していきます。厚生労働省があげた基本認識は以下の4つです。
物価高騰・賃金上昇、経営の状況、人材確保の必要性、患者負担・保険料負担の影響を踏まえた対応
全世代型社会保障の実現や、医療・介護・障害福祉サービスの連携強化、新興感染症等への対応など医療を取り巻く課題への対応
医療DXやイノベーションの推進等による質の高い医療の実現
社会保障制度の安定性・持続可能性の確保、経済・財政との調和
令和6年診療報酬改定の主なポイント
1.人材確保や賃上げ等への対応
《賃上げに向けた評価の新設》
外来医療または在宅医療を実施している歯科医療機関において、勤務する歯科衛
生士、歯科技工士等の賃金の改善を実施している場合の評価を新設
《歯科医療における初再診料等の評価の見直し》
歯科医療機関の職員や歯科技工所で従事する者の賃上げを実施する等の観点から、
初再診料や歯科修復・欠損補綴物の製作に係る項目の評価の引き上げ
2.リハビリテーション、栄養管理及び口腔管理の連携・推進
《回復期等の患者に対する口腔機能管理の推進》
回復期リハビリテーション病棟等に入院する患者に対する口腔機能管理等の
評価を新設
3.質の高い在宅医療の推進
《質の高い在宅歯科医療の提供の推進》
歯科訪問診療1の20分要件廃止、歯科訪問診療2,3の同一建物診療患者の人数
区分の再編、在宅療養支援歯科病院の新設 等
《入院患者の栄養管理等における歯科専門職の連携の推進 》
在宅歯科栄養サポートチーム等の連携指導料の新設
《小児に対する歯科訪問診療の推進》
《訪問歯科衛生指導の推進》
緩和ケアを行う患者の算定回数制限を緩和
複数名で訪問する場合の評価の新設
4.かかりつけ歯科医機能の評価
《継続的・定期的な口腔管理による歯科疾患の重症化予防の取組の推進》
「かかりつけ歯科医機能強化型 歯科診療所」の名称を「口腔管理体制強化加算」に
変更するとともに施設基準を見直し
(小児に係る研修、口腔機能管理の実績等を追加)
5.新興感染症等に対応可能な歯科医療提供体制の構築
《新興感染症等の患者に対応可能な体制の整備》
歯科外来診療環境体制加算を廃止し、医療安全対策の体制整備と感染防止対策
の体制整備の評価に再編(施設基準の見直しと評価の引き上げ)
歯科診療特別対応加算等に新興感染等の患者への評価を新設
6.情報通信機器を用いた歯科診療、遠隔医療の推進
《情報通信機器を用いた歯科診療に係る評価の新設》
初再診料や口腔機能管理等に、情報通信機器を用いた歯科診療の評価を新設
《歯科遠隔連携診療料の新設》
近隣の歯科医療機関の歯科医師と遠隔地の歯科医師の情報通信機器を用いた
連携の評価を新設
7.口腔疾患の重症化予防、口腔機能低下への対応の充実、生活の質に配慮した歯科医療の推進
《医科歯科連携の推進》
周術期等口腔機能管理の対象に集中治療室で治療を行なう患者を追加
《医歯薬連携の推進》
診療情報連携共有料に保険薬局に服用薬の情報等を求めた場合の評価を追加
《ライフステージに応じた口腔機能管理の推進》
小児口腔機能管理料、口腔機能管理料の見直し、口腔機能に関する指導訓練
に関する評価の新設
《客観的な評価に基づく歯科医療の推進》
《認知症患者に対するかかりつけ歯科医と医師等との連携の推進 》
《かかりつけ歯科医と学校歯科医等の連携の促進》
《歯科治療環境への適応が困難な患者に対する評価の見直し》
歯科診療特別対応加算の対象に強度行動障害の患者を追加
《う蝕の重症化予防の推進》
エナメル質初期う蝕、初期の根面う蝕に関する管理料の新設
《歯周病の重症化予防の推進》
歯周病安定期治療に糖尿病患者の治療を行う場合の加算を新設
《歯科衛生士による実地指導の推進》
口腔機能に関する指導を行った場合の加算を新設
《歯科固有の技術の評価》
・口腔内装置に小児の外傷後の歯
・歯列の保護を目的とした装置を追加
・ 歯冠補綴物等製作時の歯科技工士との連携(ICTの活用を含む。)を評価
・ 大臼歯CAD/CAM冠の適応を拡大
・ クラウン・ブリッジ維持管理料の対象の見直し(全部金属冠等を対象外に)
・ 学校歯科健診で不正咬が疑われた場合の歯科矯正相談料を新設 等
おおまかな改定項目は上記のような形になります。次回、細かく解説していきます。
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